相続・遺言に関するQ&A

相続・遺言に関するQ&A

 相続・遺言に関するQ&A 

奈良まほろば法律事務所では、相続・遺言に関し、これまで多くのご相談をお受けしています。
相続・遺言についてよくあるご相談をQ&A形式でまとめましたので、ご参考になさって下さい。

Q1. 民法は相続についてどのように定めていますか? 

A 遺言がない場合,相続財産は,民法が定める相続分の規定に従って分けることになります。
例えば,相続人が配偶者と子どもが場合は,配偶者が1/2,子どもが合わせて1/2です。(図A)
配偶者と亡くなった方の親の場合は,配偶者が2/3,親が1/3。(図B)
配偶者と亡くなった方の兄弟の場合は,配偶者が3/4,兄弟が1/4となります。(図C)
これを法定相続分と言います。

  

Q2. 入籍していない「内縁」関係の場合,相続権はありますか?

A 相続権はありません。戸籍上の配偶者が相続権を有します。

Q3. 私には離婚した「元・配偶者」がいます。私が死亡した場合,「元・配偶者」に相続権はありますか? 

A 相続権はありません。相続開始時点での配偶者に限られます。

Q4. 私には,離婚した「元・配偶者」との間の子どもがいます。「元・配偶者」が死亡した場合,その子に相続権はありますか? 

A 相続権があります。親の離婚,親権の帰属,別居・同居いずれかに関わらず,子は法定相続人に当たります。

Q5. 再婚カップルで相手には連れ子がいます。私が死亡した場合,相手の連れ子には相続権がありますか? 

A 連れ子とは血縁関係がありませんので,連れ子には相続権はありません。ただし,養子縁組をすれば,相続権が発生します。

Q6. 遺産の分け方などで争いを防ぐ手立ては何でしょうか? 

A 公正証書遺言の作成をおすすめします。適正な遺言があることで,相続人間の無用な紛争を回避し,すみやかな相続手続に入ることが可能となります。

Q7. 遺言にはどういう事を書けるのでしょうか? 

A 法定相続分とは異なる割合で相続人に財産を渡すことができます。また,法定相続人以外の人に財産を取得させることや,慈善事業等に財産を寄付することも可能です(※)。財産以外の事項(たとえば、認知や未成年後見人の指定など)も記載できます。(※ 寄付を受け付けない、あるいは制約を設けている団体もあります。)

Q8. 葬儀の内容などを遺言に書くことはできますか? 

A 遺言で葬儀の方法等を指定することもできます。法的な拘束力はありませんが,あなたの意思を伝えることで,相続人等が尊重してくれる可能性があります。

Q9. 遺言にはどういう方法がありますか? 

A 自分で書く方法や,公証人役場で作成する方法などがあります。

Q10. 自分で遺言を書く場合に,気をつけなければならないことはありますか? 

A 遺言全文,日付,氏名をすべて自分で書いて,印を押さないと行けません。パソコンやタイプライターで打ったり,代筆したものは全て無効となります。日付も,遺言を書いた日を正確に書いてください。「平成22年9月吉日」といった書き方では日が特定できませんので,遺言全体が無効になってしまいます。また,形式が守られていても,内容が妥当でなかったり,表現が曖昧だったりすると,かえって紛争の元になります。方式においては,公の機関である公証人役場で作成する方法が最も確実ですし,遺言の内容を決める段階から弁護士が関わることで,妥当かつ明確な遺言を作成することが出来ます。

Q11. 遺言に「財産すべてを,家族や親戚ではない○○氏に譲る」と書いた場合,家族などは,1円も相続できないのですか? 

A 遺留分といって,兄弟以外の相続人には,最低限相続できる財産が保障されています。 例えば,配偶者と子どもがいる場合は,全体で1/2まで保障されます。

Q12. 亡くなった方が借金を残していた場合は,どうなるのでしょうか? 

A 「相続放棄」といって,財産も借金一切引き継がないことが可能です。ただ,相続を放棄する場合は,相続で得られるはずの財産も得られなくなりますので,相続を放棄するかどうかは,よく考えないといけません。
相続放棄は,原則として,相続があったことを知った日から3か月以内に,亡くなった方が生前住んでいた場所の家庭裁判所で手続をする必要があります。

Q13. 借金はあるが,残したい財産もある場合はどうすればよいですか? 

A その場合は,「限定承認」という方法もあります。
限定承認の場合は,財産も借金も引き継ぐのですが,借金は,相続で得た財産の範囲で責任を負えばよいことになります。
限定承認も,相続放棄と同じで,相続があったことを知った日から3か月以内に,亡くなった方が生前住んでいた場所の家庭裁判所で手続をする必要があります。限定承認は,相続する人が数人いる場合,全員でしないといけません。

Q14. 「○○に,借金を相続させる」という主旨の遺言は有効ですか? 

A 借金は債権者の利益も配慮し,相続人全員の分割債務とされており,遺言で一部の人に責任を負わせ,他の人の責任をなくしてしまうことはできません。
(但し,法定相続人間の協議により,相続人間で内部的に一部の者が債務を負担する旨、合意することは可能です。)

Q15. 宝石など高価なものを形見として勝手に持って行くことは許されますか? 

A 本来,亡くなった方の持ち物は,遺産分割の対象です。
亡くなった方が身につけた時計やアクセサリーなどで,それほど高価でないものであれば,遺産分割の対象とせずに,形見として認められることがあります。
しかし,宝石など高価なものは,遺産分割の対象ですから,勝手に持っていくことは許されません。
宝石については,改めて協議する必要があります。こうした問題を未然に防ぐためにも,遺言をしておくことが考えられます。
また,法律のプロである弁護士が係わることで,形式・内容ともに確実なものを作成できます。

Q16. 3年前の遺言と1年前の遺言はどちらが効力を発揮しますか? 

A 民法では,古い遺言と新しい遺言が抵触するときは,その部分については,後の遺言が優先することになっています。
ただし,新しい遺言が優先するのは,あくまで両方の遺言が本物の場合です。 筆跡鑑定の結果や,古い遺言を書き換える重要な文書なのに認め印を使用していることなどを理由に, 新しい遺言は本物ではないとされた判例もあります。

Q17. 遺言をきちんと残しておいた方が良い立場の人は? 

A 子のいない夫婦の場合,夫婦双方が遺言を作成しておくことをおすすめします。亡・配偶者の兄弟姉妹との協議を経ることなく,遺産分割問題を解決できます。
また,事業経営者の方も,後継者への事業をスムーズに承継させるため,遺言で遺産分割方法を取り決めておくことが有益でしょう。その他,親族間で感情的な問題の発生が懸念される方も、遺言作成により後日の紛争の発生をできる限りくい止めるよう心掛けておかれるべきです。

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